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Applications of Infrared Multiple Angle Incidence Resolution Spectrometry
多角度入射分光法(MAIRS)法について概説されたジャーナルです。MAIRS法は固体基板上の薄膜における分子振動の面内(IP)成分と面外(OP)成分を明らかにし、薄膜の特性評価に有用であることが説明されています。
赤外透明基板上の薄膜透過スペクトル、金属基板上の同一薄膜の反射吸収スペクトルでは、異なる化学的・物理的特性を持つ基板上に同じ薄膜を調製することになり、しばしば問題となります。多変量解析に関するMAIRSの電磁気理論の詳細を論じ、MAIRS専用に開発された付属装置とソフトウェアを説明し、薄膜試料のIPスペクトル及びOPスペクトル生成におけるその応用を実証しています。MAIRS 薄膜 配向
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Simultaneous Analysis of Molecular Orientation and Quantity Change of Constituents in a Thin Film Using pMAIRS
pMAIRSにケモメトリクス解析を組み合わせ、薄膜中の各成分の配向と含有量変化を同時に評価する手法を示した研究です。混合有機薄膜に本手法を適用し、IRスペクトルから複数成分の配向秩序パラメータS値と濃度変化をモデルフリーで算出可能にしています。成膜条件(蒸着速度、基板温度など)の違いによる配向S値の僅かな変化も高精度に検出でき、異性体分子の配向形成ダイナミクスの差異を定量的に明らかにしています。
MAIRS 薄膜 配向
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Synthesis of PEG-PPG-PEG templated polydopamine nanoparticles under intensified conditions: Kinetics investigation, continuous process design and demonstration for photothermal application
材料科学分野で、連続フロー合成したナノ粒子の特性評価にラマン分光を用いた例です。MarqMetrix All-In-One ラマンシステムで反応生成物のポリドーパミン粒子を測定し、1 mL試料をセルに入れてラマンスペクトルを取得しています。スペクトルから粒子中の官能基や構造情報を解析し、連続合成プロセスにおける重合度や炭素構造のリアルタイム評価を実現しています。従来はオフライン分析を要したポリマー粒子の性状確認を、フローリアクターに直結したラマン計測によってその場監視できることを示し、機能性ナノ材料合成プロセスの効率化と制御性向上に寄与する知見を提供しています。
ラマン 合成 プロセス制御
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Raman Spectroscopy: The New Standard in Compositional Analysis of Polymers
化学メーカーChemours社におけるラマン活用事例の記事です。同社の分析グループは、従来機からMarqMetrix社製All-In-Oneラマン分析装置に更新し、ポリマー中のモノマー組成や不純物を定量モニタリングしています。新システムは従来の研究室用機器に比べてサイズが80%小型化され安定性も高く、装置間再現性が優れているため同一校正モデルを複数ラインで共有できる点が利点とされています。現場導入後は、試料にプローブを接触させワンタッチで再現的な測定が可能となり、装置の立ち上げから15分以内で初回測定を達成したとのことです。さらに価格も以前の高級機の半分以下で、現在は原料の受入検査から重合反応のオンライン監視、製品樹脂の品質検査に至るまで幅広く活用され、リアルタイムの組成分析による製造プロセス制御とコスト削減に貢献しています。
ラマン 高分子 プロセス制御
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Raman, near-infrared and fluorescence spectroscopy for determination of collagen content in ground meat and poultry by-products
食肉加工副産物中のコラーゲン含量を迅速推定するため、ラマン分光を既存手法と比較した研究です。挽肉状の牛肉試料および家禽副産物試料について、MarqMetrix製ラマン装置(All-In-One)で広範囲を走査測定し、得られたスペクトルからヒドロキシプロリン含量(コラーゲン指標)をPLS回帰モデルで算出しています。ラマン法の予測精度(R²=0.94)はNIR法(R²=0.89)より高く、蛍光法よりも誤差が小さい結果が得られています。特に副産物試料ではラマンとNIR双方でRMSE≒0.11%と良好な精度を示し、生産ライン上でのコラーゲン量オンライン測定にラマン分光が適していることが示唆されました。これはハム・ソーセージ原料などの品質管理(例えば結着材としてのコラーゲン含量管理)に有用で、食品加工工程へのPAT応用が期待されます。
ラマン ハム ソーセージ モニタリング コラーゲン
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Assessment of blend uniformity in a stream sampler device using Raman spectroscopy
医薬品製造における混合均一性モニタリングへのラマン適用例です。プエルトリコ大学の研究で、粉体製剤の連続混合ラインにストリームサンプラーとラマン分光計を組み込み、低濃度有効成分の均一性をその場測定しました。MarqMetrix社製ラマン分光装置(All-In-One)を採用し、難流動性のカフェイン含有粉末(有効成分1.5–4.5% w/w)の流れから連続的にラマンスペクトルを取得しています。得られたデータでPLS校正モデルを構築し、3つの検証試料に対しカフェイン濃度を予測したところ、RMSEP 0.21%と偏差わずか0.03%という高精度で混合物中の有効成分濃度をリアルタイム推定できました。この結果は、連続生産におけるラマンPATとして混合均一性のオンライン監視が可能であることを示しており、品質保証とプロセス効率向上に貢献します。
ラマン 医薬品 モニタリング
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Quantification of Soluble Solids and Individual Sugars in Apples by Raman Spectroscopy: A Feasibility Study
果実内部の甘味成分を非破壊評価するためのラマン応用例です。MarqMetrix All-In-One ラマン装置と特製の広視野BallProbeを用い、リンゴ果肉内にレーザーを浸透させて深さ約8 mmまでのラマンスペクトルを取得しています。
そのスペクトルから可溶性固形物(糖度)やショ糖・果糖・ブドウ糖含量をPLS回帰で予測し、基準となる屈折計Brix値との高い相関を得ました。ラマンによる糖度推定の残差(二乗平均平方根誤差)は1未満で、NIRと同程度の精度を達成しています。店頭で半割販売される果実にも応用可能であり、本手法により鮮果の甘味を非破壊でその場評価できることが示され、等級判定や品質保証への活用が期待されます。ラマン 果物 甘味成分
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Shedding Light on Colorectal Cancer: An In Vivo Raman Spectroscopy Approach Combined with Deep Learning Analysis
マウスに移植した大腸がん組織を対象に、MarqMetrix社製の携帯型 All-In-One ラマン分光装置(785 nmレーザー)とBallProbeプローブを用いて、皮膚切開下で 生体内ラマン測定 を実施しています。得られたスペクトルを深層学習で解析し、正常組織とがん組織の識別に成功しています。リアルタイムで組織中の化学組成差異を非破壊的に検出し、ラマン分光がin vivoがん診断や腫瘍評価に有用であることを示しました。
ラマン がん組織 Deep Learning
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Characterization of the crystal orientation in mono-oriented films of HDPE/LLDPE blends by IR dichroism
高密度ポリエチレン/直鎖状低密度ポリエチレンブレンドの一軸配向フィルムについて、赤外二色性により結晶の配向度を評価した研究です。偏光赤外吸収スペクトルからPE結晶の配向指数を算出し、ブレンド比や伸長条件が結晶配向に与える影響を分析しています。これによりブレンドフィルムの結晶配向と機械的性質の相関が明らかになりました。
高分子 FTIR 配向
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Accurate Molecular Orientation Analysis Using Infrared p-Polarized Multiple-Angle Incidence Resolution Spectrometry (pMAIRS) Considering the Refractive Index of the Thin Film
赤外pMAIRSによる薄膜の分子配向解析精度を向上させるため、試料薄膜の屈折率の影響を補正する手法を提案した研究です。光学的に等方な試料でも面内(IP)・面外(OP)スペクトルの吸光強度に差異が生じる問題に対し、理論計算に基づく補正係数を導入し、この結果、通常の屈折率(約1.55)から大きく外れるフッ素系低屈折薄膜(n~1.35)やフラーレン薄膜(n~1.83)でも、高精度な配向解析が可能となり、配向無秩序(マジック角54.7°)との識別も実現した。
MAIRS 薄膜 配向