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Controlling Mechanism of Molecular Orientation of Poly(3-alkylthiophene) in a Thin Film Revealed by Using pMAIRS
p偏光多角入射分光法(pMAIRS)によりポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)薄膜の分子配向と結晶性の関係を解析した研究です。高速スピンコート(8000 rpm)により低結晶性だが面直(フェースオン)配向の割合が高い薄膜を得て、非晶質凝集体中に存在するフェースオン配向成分の重要性を示されています。結晶性に頼らず配向を制御できるメカニズムを明らかにし、有機半導体薄膜の構造最適化への指針を提供しています。
MAIRS 薄膜 配向
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In-line monitoring of bioreactor by Raman spectroscopy: Direct use of a standard-based model through cell-scattering correction
ラマン分光法と機械学習は、バイオリアクターのインライン監視において需要が高まっている一方、従来のモデリングプロセスでは学習データセットを収集するための大規模な発酵バッチが必要であり、非常に時間と労力がかかります。さらに、これらのモデルは訓練バッチと同じ条件の構成に限定されています。本研究では、標準スペクトルを訓練データセットとして組み合わせ、セル散乱の補正を簡易に行う方法を組み合わせることで、再現可能かつ適応可能なモデリング手法を提案しています。
ラマン モニタリング 発酵
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Application of near-infrared spectroscopy technology in the complex fermentation system to achieve high-efficiency production
複数の微生物発酵(乳酸発酵、脂質発酵、グルコン酸発酵)に対し、非接触型の近赤外分光(NIR)によるリアルタイムモニタリング手法を紹介しています。培養液にプローブを接触させず透過測定できる装置を用い、部分最小二乗回帰(PLSR)モデルで基質や生成物(例:グルコース、乳酸、脂質、グルコン酸)の濃度を逐次予測しました。モデルは均質系および三相不均一系(油滴や固形物を含む培養)双方で高い精度を示し、決定係数R²>0.98を達成。また、NIRモデルに基づき発酵中の適切なグルコース濃度維持制御を行ったところ、グルコン酸と脂質の最終収量がそれぞれ11.8%、26.8%向上したと報告されています。本研究は、複雑な発酵系におけるNIR-PATの有効性を示し、高効率生産への応用基盤を提供しています。
近赤外 モニタリング 発酵
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Flow Raman Spectroscopy for the Detection and Identification of Small Microplastics
小さなマイクロプラスチックを流通中に検出・識別するためのフローラマン分光法を提案した研究です。試料の液体をポンプで流しながら、個々の粒子にレーザーを当てラマン散乱スペクトルを取得することで、直径約4µmまでの微粒子の材質(プラスチック種)を識別しました。人工的に作製した様々な材質・形状の微小プラスチック粒子で実験し、水中からのリアルタイム検出が可能であることを確認しています。従来のフィルター捕集後に顕微ラマンで分析する方法に比べ、前処理なしで迅速に測定できる利点があります。このフローラマン法は、水道水・環境水の連続監視などへの応用が期待され、工業プロセスの液流中でプラスチック異物を同定する手段としても有用です
粒度分布 リアルタイムモニタリング マイクロプラスチック
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Optofluidic Force Induction: A Workbench for Nanoparticle Characterization and Material Analytics
OF2i技術を包括的に紹介するミニレビューです。OF2iは連続生産への移行が進む産業において、ナノ粒子の単一粒子レベルでの高速リアルタイム評価を可能にする「作業台」として提唱されています。本稿ではOF2iの物理原理(光学トラップと流体力学の組合せ)を解説するとともに、工業的に複雑なポリ分散系試料への応用例を示しました。例えば、粒径が数種類混在するポリスチレン微粒子混合物のサイズ分布を1時間にわたり連続測定し、各成分の分布ピークをGaussian mixtureモデルで解析することで5峰の分布を正確に再現しています。また最近の進展として、OF2iと他分析法の組み合わせ(ラマン併用によるマイクロプラスチック同定など)や、将来の課題にも言及しています。OF2iアプローチが研究開発から生産監視まで広範に応用可能であることを示す総説です。
粒度分布
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Tracking electrochemical reactions inside organic electrodes by operando IR spectroscopy
有機系電極材料内部で起こる反応をその場ATR-FTIR分光により追跡した研究です。赤外透過性のSiウィンドウを備えたスペクトロ電気化学セルを構築し、例えば有機ラジカル電極の酸化還元反応中に出現・消失する官能基の吸収ピークをリアルタイムで観測しています。ATR-FTIRにより電極内部の反応進行や中間体の生成を可視化でき、有機電極の反応経路や劣化要因の理解に繋がる知見を提供しています。
FTIR 電池材料 オペランド分光
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Multipass Raman gas analyzer for monitoring of atmospheric CO₂ and CH₄
大気中の二酸化炭素(CO₂)とメタン(CH₄)の監視のための多重通過ラマンガス分析計を開発。高感度により、これらの温室効果ガスの日々の変動をモニタリングすることが可能で、CH4の検出限界は100ppb未満が得られています。
ラマン ガス
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Continuous measurement of reactive ammonia in hydrogen fuel by online dilution module coupled with Fourier transform infrared spectrometer
水素燃料電池用のガス中のアンモニアの連続測定に、オンライン希釈モジュールとフーリエ変換赤外分光計(ODM-FTIR)を統合した新しい検出プラットフォームを開発。分析結果は満足のいくものであり、水素燃料電池中の微量アンモニア分析において重要な実用的意義を持つと評価されています。0.1〜2.5 MPaの圧力範囲で、低濃度のアンモニアを高感度で検出可能であることが示されています。
FTIR アンモニア ガス測定
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Raman gas sensing technology: A new horizon?
ラマン分光法は、赤外分光法やガスクロマトグラフィー質量分析法(GC-MS)と比較して優れた性能を持つが、実用化には課題がある。本研究では、ラマン分光法を用いたガスセンサーの現状と今後の展望について論じられています。
ラマン ガス分析
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Development of a novel semi-automated analytical system of microplastics using reflectance-FTIR spectrometry: designed for the analysis of large microplastics
ピンセットで扱えるようなサイズ(>500um)以上のマイクロプラスチック粒子の(半)自動化分析システムを開発について報告されている。大量の粒子の測定が要求されるマイクロプラスチック分析環境において、これまで、時間と労力を要するATR測定が採用されているが、開発した新しい自動化アプローチは、粒子のサイズ計測~同定までの従来のプロセスを劇的に加速させ、世界的なマイクロプラスチック分布の効率的な特定を可能にすると考えられています。この論文では、システムの概要から測定精度に至るまでが概説されています。
マイクロプラスチック 自動化 FTIR