ACADEMIC REFERENCES

論文データベース

当社がピックアップした各種アプリケーションや材料評価などで役立つ国内・海外の論文を逐次紹介しています。
みなさまのお仕事に参考になれば幸いです。
*ここで紹介されている論文やその要約は当社が分野・内容ごとに独自にまとめたものです。
内容・詳細につきましてはオリジナルの対象論文をご参照ください。

Following domestic and international academic papers selected by our company that are useful for various applications and material evaluations.
We hope these will be helpful references for your daily analysis work.
*Those academic papers and their summaries introduced here are compiled independently by our company according to field and content. 
For content and details, please refer to the original papers.

  • レーザーラマン分光法を用いたポリスチレン射出成形品の 分子配向解析

    ポリスチレン成形品内部の分子配向状態をラマン分光で評価した国内研究です。1000 cm⁻¹と620 cm⁻¹のラマンピーク強度比(I_{1000}/I_{620})から配向度を算出し、成形品の試料厚み方向の配向分布を可視化しています。さらに熱処理条件に伴う配向性変化についても評価されており、試験片の400μm以深におけるコア層において、分子配向が緩和すること、また熱処理温度が高いほど、その緩和量が大きいことなどが示されています。

    垰 幸作, 山田浩二, 東 青 史, 籠 恵太郎, 竹下宏樹, 徳満勝久

    高分子 ラマン 配向

  • Determination of the temperatures of the γ, β and α relaxation processes in nylon 6,6 by Raman spectroscopy

    ナイロン6,6のガラス転移(α緩和)および副次的な緩和(β、γ)の温度域をラマン分光で特定した研究です。–120℃から+120℃の温度範囲でラマンスペクトルのピーク位置や半値幅を追跡し、C=OやC–C、N–H伸縮振動のピークパラメータに変化が生じる温度領域を同定しています。得られた緩和温度は熱分析や機械測定による文献値と一致しており、ラマン分光が高分子中の分子緩和現象(ガラス転移を含む)を検出できることを示しています。

    Durval Bertoldo Menezes, Andreas Reyer , Alexandre Marletta, Maurizio Musso

    高分子 ラマン ガラス転移

  • Measurement of the glass transition temperature of an epoxy resin using principal components of Raman spectra

    エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度をラマン分光と多変量解析で測定した研究です。ラマンスペクトルから主成分分析(PCA)で温度変化に対応する特徴パターンを抽出し、非接触でTgを検出する手法を提案しています。ラマン-PCAによって得られたTgは従来法と一致し、試料表面から直接ガラス転移点を測れる可能性が示されています。この方法は硬化モニタリング技術への応用も期待されます。

    Daniel Griffin, Sebastian Wood, Ian Hamerton

    高分子 ラマン ガラス転移

  • Raman spectroscopic insights into the glass transition of poly(methyl methacrylate)

    PMMAのガラス転移挙動をラマン分光で詳細に解析した論文です。温度依存ラマン測定に二次元相関解析(2DCOS)などを適用し、ガラス転移時に分子間相互作用の変化で特定の振動モード(例えばカルボニル基の伸縮振動など)に顕著なシフトや幅変化が生じることを明らかにしています。特に812 cm⁻¹付近のC–O–C結合のピークがガラス転移を敏感に示す指標となりうることを指摘し、DSC測定や分子動力学シミュレーション結果とも比較してラマンスペクトルからPMMAのTgを分子レベルで把握できることを示しています。

    D. Bertoldo Menezes, A. Reyer, A. Benisek,E. Dachs, C. Pruner, M. Musso

    高分子 ラマン ガラス転移

  • Analytical Methods for In-Depth Assessment of Recycled Plastics: A Review

    リサイクルプラスチック品質評価に用いられる分析法を俯瞰するレビューです。FTIR/NIR/ラマンの他,熱分析・クロマト・元素分析などを比較し,二次原料の組成・分子量分布・残留添加剤・トレース金属の把握における役割を整理。IR/Ramanはスクリーニングと詳細構造評価の両面で重要と位置づけられ,複数手法の統合解析の必要性を指摘しています。

    Joseph Patrick, Joseph Patrick, Giovanni Beggio, Gabriella Salviulo, Maria Cristina Lavagnolo

    ポリマーリサイクル FTIR NIR ラマン 高分子

  • IR Spectroscopy as a Diagnostic Tool in the Recycling Process and Evaluation of Recycled Polymeric Materials

    中赤外および近赤外分光を,単なる樹脂判別ではなく,分子構造・結晶性・モルフォロジー・老化度などの診断ツールとして活用するレビュー論文です。リサイクルPE/PPの組成・立体規則性・酸化劣化の評価事例や,スペクトルから物性・均一性を推定するプロトコルを整理。高性能用途に再利用するための品質保証指標としての赤外スペクトルの活用を詳述しています。

    Kaiyue Hu, Luigi Brambilla, Chiara Castiglioni

    ポリマーリサイクル FTIR 高分子

  • Mid-infrared spectroscopy and machine learning for postconsumer plastics recycling

    ポストコンシューマープラスチックを対象に,中赤外(MIR)スペクトルと機械学習を組み合わせて材質同定しています。VIS/NIRでは色素・添加剤の吸収で分類が難しい黒色・濃色プラスチックにも有効であることを示しています。MIR吸収バンドを特徴量とし,複数樹脂(PE, PP, PET等)混在ストリームの高精度分類モデルを構築し,高度リサイクルラインへの適用可能性を論じています。

    Nicholas Stavinski , Vaishali Maheshkar , Sinai Thomas, Karthik Dantu , Luis Velarde

    ポリマーリサイクル FTIR 高分子

  • In situ dissolved polypropylene prediction by Raman and ATR-IR spectroscopy for its recycling

    溶媒中に溶解したPPを,オンラインでラマンおよびATR-FTIRによりin situ定量をしています。部分最小二乗回帰(PLS)モデルを構築し,各溶媒系ごとに溶解PP濃度を精度良く予測。ラマンの方が予測性能が高いことを示し,選択溶解・ケミカルリサイクルプロセス中のポリマー濃度モニタリング手段として有望であることを示しています。

    Sofiane Ferchichi, Nida Sheibat-Othman, Olivier Boyron, Charles Bonnin,Sébastien Norsic,Maud Rey-Bayle, Vincent Monteil

    ポリマーリサイクル ラマン FTIR 高分子

  • Raman spectroscopic strategy for the discrimination of recycled and virgin PET water bottles

    ラマン(600–1800 cm⁻¹)とケモメトリクスを用い,バージンPETとリサイクルPETボトルを高精度に判別しています。PLS-DAで約95 %の識別成功率を達成し,PLS回帰によりボトル中の再生PET含有率も定量(R²≈0.89)。加水分解や熱履歴に由来するバンド変化を利用し,食品容器への再生材混入のモニタリングや不正検知に役立つ手法として位置付けられています。

    Rosa Peñalver, Félix Zapata, Natalia Arroyo-Manzanares, Ignacio López-García, Pilar Viñas

    ポリマーリサイクル ラマン 高分子

  • Raman spectroscopy analysis of disordered and amorphous carbon materials: A review of empirical correlations

    本論文は無秩序・非晶質炭素のラマン分光に関するレビューで、ラマンピークの帰属、スペクトル解析手法、材料構造との関連性を論じています。Dバンドは格子欠陥起因の振動、Gバンドはsp2炭素骨格由来の振動です。I(D)/I(G)比と結晶ドメインサイズLaの経験的相関やGバンド位置と構造特性の関係が議論され、これらを踏まえた「3段階モデル」により無秩序度に応じたスペクトル変化が整理されています。さらに、水素化非晶質炭素(a-C:H)におけるPL背景傾斜と水素含有量の相関も示され、様々な炭素材料への適用例とその限界が考察されています。

    Ruichuan Yuan , Yiwen Guo , Ilke Gurgan , Nahian Siddique , Yu-Sheng Li , Seokhoon Jang , Gina A. Noh , Seong H. Kim

    ラマン カーボン スペクトル解析