ACADEMIC REFERENCES

論文データベース

当社がピックアップした各種アプリケーションや材料評価などで役立つ国内・海外の論文を逐次紹介しています。
みなさまのお仕事に参考になれば幸いです。
*ここで紹介されている論文やその要約は当社が分野・内容ごとに独自にまとめたものです。
内容・詳細につきましてはオリジナルの対象論文をご参照ください。

Following domestic and international academic papers selected by our company that are useful for various applications and material evaluations.
We hope these will be helpful references for your daily analysis work.
*Those academic papers and their summaries introduced here are compiled independently by our company according to field and content. 
For content and details, please refer to the original papers.

  • Second Generation of Multiple-Ang le Incidence Resolution Spectrome try

    従来のFT-IR MAIRS法の課題であった水蒸気による干渉ピークや干渉縞(フリンジ)を除去すべく、改良版となる「MAIRS2」を開発した。MAIRS2では入射角を大角度に固定し代わりに偏光角を変化させる手法を取り、これによりセル内の水蒸気吸収の重畳を大幅に低減。さらに最適化された補正アルゴリズムにより光学的フリンジも効果的に除去した。実際に種々の薄膜でIP/OPスペクトルを取得した結果、水分や薄膜干渉の影響なく高精度な配向スペクトルが得られることを示し、MAIRS2は従来法の問題を克服した新たな強力な薄膜構造解析ツールであると報告している。

    Nobutaka SHioya; Kazutaka Tomita, Takafumi Shimoa, Takeshi Hasegawa

    MAIRS 薄膜 配向

  • A new schematic for poly(3-alkylthiophene) in an amorphous film studied using a novel structural index in infrared spectroscopy

    この論文は、アモルファスなpoly(3-alkylthiophene)(P3AT)薄膜において、チオフェン環の「短軸は基板に平行だが、鎖方向は大きく乱れている」という新しい構造像を提案しています。ここで鍵になるのが、pMAIRSと「構造インデックス」を組み合わせた配向解析です。チオフェン環上の3つの互いに直交する振動モードに着目し、それぞれのIP/OP吸収から配向角を求め、さらに新規に定義した構造インデックスで整理することで、結晶化度に依存しない“平均的なリング配向”を描き出しています。つまりMAIRSは、(1) 面内/面外スペクトルの分離による配向角の算出、(2) それを複数モードで組み合わせることで、アモルファス膜でも半経験的な「構造パラメータ」として配向を数値化する評価軸として使われています。

    N. Shioya, T. Shimoaka, K. Edab, T. Hasegawa

    MAIRS 薄膜 配向

  • Collective orientation barrier in growth of organic thin films revealed by pMAIRS

    この論文は、有機半導体ペンタセン薄膜の成長過程で、「分子が寝た状態から立った状態へ向きを変えるための集団的なエネルギー障壁(Collective Orientation Barrier, COB)」を定量化した研究です。pMAIRSを用いて、成長温度を変えたときの薄膜中の“lying vs standing”分子の比率を、アニソトロピックな赤外吸収(IP/OPスペクトル)から評価します。その比率から“立ち配向をとる確率”を定義し、温度に対するArrheniusプロットを作ることで、COBを約0.02 eVと見積もっています。ここでのpMAIRSの役割は、薄膜内の平均配向角を知るだけでなく、「その配向状態がどれだけ熱活性化されたプロセスの結果なのか」をエネルギーパラメータとして引き出す評価法になっている点です。この定量的COB評価は、他の有機半導体薄膜で成長条件と分子配向を設計する際の指標として応用可能とされています。

    Sae Nagai , Yuta Inaba, Toshio Nishi, Hajime Kobayashi, Shigetaka Tomiya

    MAIRS 薄膜 配向

  • Conformation change of α-synuclein(61-95) at the air-water interface and quantitative measurement of the tilt angle of the axis of its α-helix by multiple angle incidence resolution spectroscopy

    パーキンソン病に関与するα-synucleinのNAC領域が、水溶液中ではランダム構造だが、空気/水界面ではαヘリックスへと構造転移する様子を調べた論文です。Langmuir単分子膜を作り、CDで二次構造変化を見つつ、p偏光MAIRS(pMAIRS)で界面に対するヘリックス軸の傾き角を定量しています。具体的には、アミドIバンドの面内(IP)・面外(OP)の吸収強度からヘリックスの遷移モーメントの傾き角を算出し、「膜に対してどれくらい傾いているαヘリックスなのか」を角度として評価しています。従来のATRやIR-RAでは測定が難しい“モノレイヤー+傾き角”という情報を、pMAIRSだけで引き出していて、膜タンパク質の構造解析に対するX線・NMRの補完技術としてのポテンシャルを示した内容です。

    Chengshan Wang, Shiv Kumar Sharma, Oladimeji Sunday Olaluwoye , Saad Ayidh Alrashdi , Takeshi Hasegawa, Roger M. Leblanc

    MAIRS 薄膜 配向

  • Applications of Infrared Multiple Angle Incidence Resolution Spectrometry

    多角度入射分光法(MAIRS)法について概説されたジャーナルです。MAIRS法は固体基板上の薄膜における分子振動の面内(IP)成分と面外(OP)成分を明らかにし、薄膜の特性評価に有用であることが説明されています。
    赤外透明基板上の薄膜透過スペクトル、金属基板上の同一薄膜の反射吸収スペクトルでは、異なる化学的・物理的特性を持つ基板上に同じ薄膜を調製することになり、しばしば問題となります。多変量解析に関するMAIRSの電磁気理論の詳細を論じ、MAIRS専用に開発された付属装置とソフトウェアを説明し、薄膜試料のIPスペクトル及びOPスペクトル生成におけるその応用を実証しています。

    MAIRS 薄膜 配向

  • Simultaneous Analysis of Molecular Orientation and Quantity Change of Constituents in a Thin Film Using pMAIRS

    pMAIRSにケモメトリクス解析を組み合わせ、薄膜中の各成分の配向と含有量変化を同時に評価する手法を示した研究です。混合有機薄膜に本手法を適用し、IRスペクトルから複数成分の配向秩序パラメータS値と濃度変化をモデルフリーで算出可能にしています。成膜条件(蒸着速度、基板温度など)の違いによる配向S値の僅かな変化も高精度に検出でき、異性体分子の配向形成ダイナミクスの差異を定量的に明らかにしています。

    Nobutaka Shioya, Ryoi Fujiwara, Kazutaka Tomita, Takafumi Shimoaka, Takeshi Hasegawa

    MAIRS 薄膜 配向

  • Accurate Molecular Orientation Analysis Using Infrared p-Polarized Multiple-Angle Incidence Resolution Spectrometry (pMAIRS) Considering the Refractive Index of the Thin Film

    赤外pMAIRSによる薄膜の分子配向解析精度を向上させるため、試料薄膜の屈折率の影響を補正する手法を提案した研究です。光学的に等方な試料でも面内(IP)・面外(OP)スペクトルの吸光強度に差異が生じる問題に対し、理論計算に基づく補正係数を導入し、この結果、通常の屈折率(約1.55)から大きく外れるフッ素系低屈折薄膜(n~1.35)やフラーレン薄膜(n~1.83)でも、高精度な配向解析が可能となり、配向無秩序(マジック角54.7°)との識別も実現した。

    Nobutaka Shioya, Takafumi Shimoaka, Richard Murdey, Takeshi Hasegawa

    MAIRS 薄膜 配向

  • Controlling Mechanism of Molecular Orientation of Poly(3-alkylthiophene) in a Thin Film Revealed by Using pMAIRS

    p偏光多角入射分光法(pMAIRS)によりポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)薄膜の分子配向と結晶性の関係を解析した研究です。高速スピンコート(8000 rpm)により低結晶性だが面直(フェースオン)配向の割合が高い薄膜を得て、非晶質凝集体中に存在するフェースオン配向成分の重要性を示されています。結晶性に頼らず配向を制御できるメカニズムを明らかにし、有機半導体薄膜の構造最適化への指針を提供しています。

    Nobutaka Shioya, Takafumi Shimoaka, Kazuo Eda, Takeshi Hasegawa

    MAIRS 薄膜 配向

  • Collective orientation barrier in growth of organic thin films revealed by pMAIRS

    有機半導体ペンタセン薄膜の成長過程において、p偏光多角入射分光(pMAIRS)で分子配向を評価し、基板に平行(面内)からほぼ垂直(面外)への配向転換に集団的エネルギー障壁が存在することを明らかにしています。成長温度を上げると横たわっている状態から立っている状態まで熱活性化的に移行し、配向制御の指標としてその障壁エネルギーを定量評価しています。DOI: 10.1103/PhysRevMaterials.5.013801

    Sae Nagai, Yuta Inaba, Toshio Nishi, Hajime Kobayashi, Shigetaka Tomiya

    MAIRS 薄膜 配向