CATEGORY
-
SO2- and NOx- initiated atmospheric degradation of polymeric films: Morphological and chemical changes, influence of relative humidity and inorganic pigments
現代の有機系塗膜(アクリル系・アルキド系など)をSO₂およびNOx雰囲気で曝露し、劣化を3D顕微鏡とATR-FTIRマッピングで解析した研究です。ATR-FTIRからはカルボニル・エーテル・硫酸塩などのバンド変化を捉え、相対湿度や顔料種による劣化機構の違いを多変量解析(PCA, ASCA)で定量評価しています。SO₂による加水分解・酸化がポリマー主鎖や架橋構造に与える影響をスペクトルで可視化しており、硫黄酸化物環境での樹脂フィルム表面の化学劣化評価にFTIRをフル活用した例といえます。
SOx, NOx ,高分子,FTIR
-
Improving the Dyeing of Polypropylene by Surface Fluorination
PPフィルムを25℃・10–380 TorrのF₂ガスで1時間処理し、表面フッ素化による染色性向上を検討した研究です。FTIRでは未処理PPのC–H伸縮(2960, 2919, 2867 cm⁻¹など)の減少と、新たなCF, CF₂, CF₃バンド(700–770, 1000–1200 cm⁻¹)の出現を確認し、フッ素化層が形成されることが示されています。F₂の圧力が高いほどフッ素化バンドが増大し、CH由来ピークは消失に近づいています。AFMと合わせ、表面組成・厚み方向の変化をFTIRで定量化したフッ素ガスによる樹脂表面改質例です。
フッ素,高分子,FTIR
-
Study on ammonia transport and separation in Aquivion® perfluoro sulfonated acid membranes
短側鎖型ペルフルオロスルホン酸膜(Aquivion C87-05)中のアンモニア輸送と分離性能を調べた研究です。純NH₃/N₂/H₂透過試験後の膜をFTIRで測定し、NH₃残存や膜骨格への影響を解析しています。FTIRではスルホン酸基近傍のバンド変化から、NH₃のプロトン化・脱プロトン化や水和状態の変化を推定し、これが輸送挙動・選択性と対応することを示しています。樹脂の分解というよりは、アンモニアとの相互作用による局所構造変化の評価例です。
アンモニア,高分子,FTIR
-
Investigation on the Ammonia Sensitivity Mechanism of Conducting Polymer Polypyrroles Using In-Situ FT-IR
導電性ポリマーPPy薄膜のNH₃ガスセンサとしての応答機構を、リアルタイムin-situ FTIRで追跡した研究です。NH₃導入時にC=C/C–N伸縮やドーピング関連バンドが変化し、ポリピロール骨格のプロトン化状態が時間とともに変化する様子をスペクトルから解析しています。これにより、NH₃吸着に伴う構造変換と電気抵抗変化の相関を示し、アンモニア環境下での高分子骨格の可逆的化学変化をFTIRで詳細に評価しています。
アンモニア,高分子,FTIR
-
Characterization of the crystal orientation in mono-oriented films of HDPE/LLDPE blends by IR dichroism
高密度ポリエチレン/直鎖状低密度ポリエチレンブレンドの一軸配向フィルムについて、赤外二色性により結晶の配向度を評価した研究です。偏光赤外吸収スペクトルからPE結晶の配向指数を算出し、ブレンド比や伸長条件が結晶配向に与える影響を分析しています。これによりブレンドフィルムの結晶配向と機械的性質の相関が明らかになりました。
高分子 FTIR 配向
-
Tracking electrochemical reactions inside organic electrodes by operando IR spectroscopy
有機系電極材料内部で起こる反応をその場ATR-FTIR分光により追跡した研究です。赤外透過性のSiウィンドウを備えたスペクトロ電気化学セルを構築し、例えば有機ラジカル電極の酸化還元反応中に出現・消失する官能基の吸収ピークをリアルタイムで観測しています。ATR-FTIRにより電極内部の反応進行や中間体の生成を可視化でき、有機電極の反応経路や劣化要因の理解に繋がる知見を提供しています。
FTIR 電池材料 オペランド分光
-
レーザーラマン分光法を用いたポリスチレン射出成形品の 分子配向解析
ポリスチレン成形品内部の分子配向状態をラマン分光で評価した国内研究です。1000 cm⁻¹と620 cm⁻¹のラマンピーク強度比(I_{1000}/I_{620})から配向度を算出し、成形品の試料厚み方向の配向分布を可視化しています。さらに熱処理条件に伴う配向性変化についても評価されており、試験片の400μm以深におけるコア層において、分子配向が緩和すること、また熱処理温度が高いほど、その緩和量が大きいことなどが示されています。
高分子 ラマン 配向
-
Determination of the temperatures of the γ, β and α relaxation processes in nylon 6,6 by Raman spectroscopy
ナイロン6,6のガラス転移(α緩和)および副次的な緩和(β、γ)の温度域をラマン分光で特定した研究です。–120℃から+120℃の温度範囲でラマンスペクトルのピーク位置や半値幅を追跡し、C=OやC–C、N–H伸縮振動のピークパラメータに変化が生じる温度領域を同定しています。得られた緩和温度は熱分析や機械測定による文献値と一致しており、ラマン分光が高分子中の分子緩和現象(ガラス転移を含む)を検出できることを示しています。
高分子 ラマン ガラス転移
-
Measurement of the glass transition temperature of an epoxy resin using principal components of Raman spectra
エポキシ樹脂硬化物のガラス転移温度をラマン分光と多変量解析で測定した研究です。ラマンスペクトルから主成分分析(PCA)で温度変化に対応する特徴パターンを抽出し、非接触でTgを検出する手法を提案しています。ラマン-PCAによって得られたTgは従来法と一致し、試料表面から直接ガラス転移点を測れる可能性が示されています。この方法は硬化モニタリング技術への応用も期待されます。
高分子 ラマン ガラス転移
-
Raman spectroscopic insights into the glass transition of poly(methyl methacrylate)
PMMAのガラス転移挙動をラマン分光で詳細に解析した論文です。温度依存ラマン測定に二次元相関解析(2DCOS)などを適用し、ガラス転移時に分子間相互作用の変化で特定の振動モード(例えばカルボニル基の伸縮振動など)に顕著なシフトや幅変化が生じることを明らかにしています。特に812 cm⁻¹付近のC–O–C結合のピークがガラス転移を敏感に示す指標となりうることを指摘し、DSC測定や分子動力学シミュレーション結果とも比較してラマンスペクトルからPMMAのTgを分子レベルで把握できることを示しています。
高分子 ラマン ガラス転移