CATEGORY
-
赤外線吸収スペクトルによる合成高分子化合物の系統的鑑別法
関税中央分析所による総説。Kagarise法に基づき、赤外スペクトルの特徴ピークと簡易化学試験を組み合わせてプラスチックを体系的に鑑別する手法を新たに構築。官能基吸収(例えば炭素yl基のν(C=O)位置)や添加剤の有無(可塑剤・充填剤など)に注目し、未知試料の樹脂種類を判定する手順を示しています。
高分子 FTIR 赤外スペクトル解析
-
Microstructural Interpretation of Influences of Molecular Weight on the Tensile Properties of HDPE Solids Using Rheo-Raman Spectroscopy
HDPEについて、重量平均分子量の効果を評価している。高Mw成分の添加でタイ分子密度が増え、降伏以降の応力伝達ネットワークが強化されることを確認。応力下でC–C伸縮振動のラマンバンドが低波数側へシフトしピーク幅が拡大する現象を観測し、これはタイ分子に荷重が集中するためと解釈されています。
高分子 ラマン HDPE レオメーター
-
Rheo-Raman Spectroscopic Study on Uniaxial Deformation Behavior of High-Density Polyethylene Solids with Various Molecular Weight Distributions
高密度ポリエチレン(HDPE)の分子量分布が機械応答に与える影響をラマン分光その場観察で解析した事例です。分散の大きい試料ではタイ分子が増加し、ネック形成後のひずみ硬化が顕著に表れています。結晶鎖の配向およびトランス鎖の伸長も分散が大きいほど増加し、タイ分子ネットワークがひずみ硬化に寄与することが示されています。
高分子 ラマン HDPE レオメーター
-
In Situ Infrared Spectroscopy Reveals Persistent Alkalinity near Electrode Surfaces during CO2 Electroreduction
Cu電極上でのCO₂電気化学還元中に表面増強赤外吸収分光(SEIRAS)を適用し、その場観察しています。pHを計測し、その結果、リン酸緩衝液を用いても反応中の電極表面近傍ではバルク溶液よりpHが最大5高く(より塩基性)保たれ、-1 V vs RHE付近で局所的な強塩基性環境が持続することが示されています。緩衝能を高めてもH₂発生が増加してバッファー作用が狭い電位範囲で破綻し、電極表面近傍での濃度勾配とアルカリ性環境がCO₂還元反応に与える影響が示唆されました。
FTIR SEIRAS オペランド 電池
-
Hollow-core optical fibre sensors for operando Raman spectroscopy investigation of Li-ion battery liquid electrolytes
中空コア光ファイバーを用いた新規オペランドラマン計測手法により、リチウムイオン電池の液体電解液の化学組成変化をその場観察した研究です。グラファイト負極とNMC正極を組み合わせたセル内に光ファイバープローブを挿入し、ラマン分光で炭酸エステル系電解液中の溶媒や添加剤の濃度比変化をリアルタイム測定しています。その結果、電位に応じた溶媒組成や添加剤分解の進行が捉えられ、リチウムイオン溶媒和動態や劣化機構の理解に繋がる知見が得られています。DOI: 10.1038/s41467-022-29330-4
ラマン 電池材料 オペランド分光
-
Operando Investigation of Sulfide-based All-solid-state Lithium Batteries via Raman Spectroscopy: A Review
硫化物系全固体リチウム電池内部の反応機構をラマン分光で解明する研究動向を総括したレビュー論文です。ラマン分光によって全固体電池内の材料構造変化や界面反応生成物をリアルタイムに追跡し、性能劣化の原因を明らかにした近年の成果を紹介しています。固体電解質と電極界面での反応解析を通じ、全固体電池の界面安定化や高性能化に向けた知見が示されています。DOI: 10.1016/j.ensm.2025.104110
ラマン 電池材料 オペランド分光
-
An infrared, Raman, and X-ray database of battery interphase components
リチウムイオン電池の電極・電解質界面に形成されるインターフェーズ(EEI)の理解促進のため、代表的な10種の界面成分の参照スペクトルデータライブラリーを構築した報告です。不活性雰囲気下で各化合物のATR-FTIR、ラマン、およびXRD測定を行い、文献に散在するデータを統一的に提供しています。このオープンデータ集により、複雑な界面スペクトル中の成分同定が容易となり、電池界面反応の解析や次世代電池研究の加速に資することが期待されます。
FTIR ラマン 電池材料
-
In situ and operando infrared spectroscopy of battery systems: Progress and opportunities
リチウムイオン電池(LIB)などの電池で、In-Situおよびオペランド赤外分光法が果たす役割を総括したレビューです。赤外分光は様々な電池において、電解液還元での新物質生成、電極の劣化、固体電解質界面(SEI)層の形成をリアルタイムで検知し、電池反応の機構解明に有用であることを示しています。本稿ではLIBおよび他種の電池への赤外分光適用例を俯瞰し、これらの手法を標準的解析プロトコルとして活用すべきことを提言しています。DOI: 10.1016/j.jechem.2023.02.036
FTIR 電池材料 オペランド分光 LIB
-
Advanced Raman Spectroscopy for Battery Applications: Materials Characterization and Operando Measurements
ラマン分光の電池研究への応用における最新の進展を概説したレビュー論文です。静的評価では有機電解液の溶媒和構造や電極活物質の結晶構造、複合電極内の成分空間分布の可視化などを紹介し、運転下の分析ではイオン濃度変化や電極劣化反応、全固体電池内の多階層反応解析などラマン技術がもたらす新知見を示しています。これらの成果により電池化学の理解が深まり、次世代電池の開発に寄与することが期待されます。DOI: 10.1063/5.0272588
ラマン 電池材料 オペランド分光
-
Contribution of Raman and Surface Enhanced Raman Spectroscopy (SERS) to the analysis of vehicle headlights: Dye(s) characterization
車両ヘッドライトの樹脂(主にPMMA)中に含まれる有機染料をラマン分光および表面増強ラマン(SERS)で分析し、灯火類プラスチックの識別性向上を図った研究です。ラマンスペクトルから材質(PMMAやPCなど)を判別した後、銀コロイドを用いたSERSで微量の染料成分を検出した。Orange60やRed52等の染料ピークを検出し、90~100%の高い識別率でヘッドライト樹脂の区別に成功。従来ほぼ単一材質で差別困難だったヘッドライト破片に、ラマン-SERS併用が極めて有用であると示されています。
自動車 色素 法科学 SARS