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レオメーターとラマン分光装置の組み合わせによるポリマー結晶化の追跡
要約:本アプリケーションでは、レオメーターとラマン分光装置を組み合わせて使用し、材料挙動に関する包括的な知見を得る方法について説明します。レオロジーはある物質の絶対流量および変形特性を特定のプロセスまたはアプリケーションにおける挙動と相関させる分析法です。ところが、レオロジーでは、調査対象サンプルのバルクに関する答えしか得られていません。特定のステップ中において、分子レベルでは実際に何が起きているかについて知見を得ることはできないのです。化学分析に関しては、強力で効果的かつ非侵襲的な手法として、ラマン分光法の実績が証明されています。レオメーターとラマン分光装置を組み合わせることで、分子構造および機械的特性に関する直接的な情報を得ることができます。これは、処理中のポリマーメルトの結晶化挙動に関する研究において極めて有用です。また相対流量のみでキャラクタリゼーションが行われるオンライン法では非常に困難な場合があるin-situ特性のキャラクタリゼーションおよびモニタリングに関しても知見を得ることが可能です。
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レオメータ ラマン 複合分析
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レオメーターとラマン分光装置の組み合わせによる 乳化安定性の追跡
要約:複合流体の応力 – ひずみ応答は、材料内の物理的または化学的な構造の変化と密接に関連しており、流動に影響を及ぼす物理的または化学的特性の同時測定と組み合わせると、レオロジー測定は更に有用なものとなります。分子配座、結合形成または切断、および化学組成を含む化学的情報もまた、レオロジー測定に密接に関係しています。ラマン分光法などの振動分光分析ツールは、乳液などのさまざまな柔らかい物質について化学情報を探るための強力な非侵襲的手法であることが証明されています。同時測定のメリットは明らかです。多くの軟質材料は温度および流動の履歴に敏感であるため、同時に測定することで、実験間のばらつきを最小限に抑えることができます。
本アプリケーションノートでは、以前に公開された NIST と協力して得られた美容乳液の測定の結果を紹介します。ここに示す結果は、Thermo Scientic™ HAAKE™ MARS™ レオメーターとThermoScientic iXR™コンパクトラマン分光装置を組み合わせた新しい分析装置(ThermoScientifc HAAKE MARSXR Rheo-Raman)で得ることができます。ID
レオメータ ラマン 複合分析
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顕微FT-IRによる費用効果の高い食品品質分析
要約:食品と飲料における品質および安全性を保障するには、継続的なモニタリングが不可欠です。食品生産プロセルにおいて予期せぬ成分を同定し、それが除去の必要な汚染物質か、許容される副産物かを判断することはきわめて重要です。顕微FT-IRは微粒子や油滴などの微量物質を同定するために強力な手法です。下限値をおよそ25μmに設定すれば、大半の分析で目視可能な異物をとらえることができます。
ここでは操作がシンプルな顕微FT-IRおよびATRサンプリングを使用した、液体ろ過に関する分析と食品の粒子状残留物を検査した分析の二つを紹介します。ID
FTIR 食品 異物分析
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FT‐NIRを用いたセルロースエステルの識別 分析
要約:近赤外(NIR)分光法は、食品または製薬業界における高度に制御されたプロセス環境のための一般的な分析ツールです。電磁スペクトルの近赤外線部分は、ガラス製の容器、窓、ファイバーを容易に透過するため、試料を採取したり、実験室に持ち込んで分析したりする必要がなく、プロセスの流れの中で直接物質を分析する目的に理想的です。一般に、光ファイバープローブは、プロセス内の物質をリアルタイムで遠隔でモニタリングするために利用されます。
このアプリケーションノートでは、分析、評価および補正の目的のために、プロセス機器Thermo Scientific™ Antaris™ NIR 近赤外アナライザーから、実験機器Thermo Scientific™ Nicolet™iS50 FT-IR分光光度計(両方とも上図)へのメソッド移行の同等性を実証します。この「逆移行」(生産現場からラボへ)の堅牢性を証明するために、一連のセルロースアセテートエステルをモデル化合物として使用しました。ID
近赤外 セルロース プロセス
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ラマンイメージングによるリチウムイオン電池のin situ分析
要約:ラマンによる電池材料の分析は、古くからおこなわれてきました。1960年代には多くの研究者が、鉱物や無機物の基礎的な分析にラマンを使用していました。ラマンは、鉱物や無機物の特長である回転モードの低波数領域(赤外スペクトルの遠赤外領域)が標準的に分析可能で都合の良い分析装置と言えます。昨今の技術の進歩はラマンの分析を容易にするだけでなく分析の応用範囲を広げ、新しいアプリケーションへの関心を高めました。
その一つがリチウムイオン電池の分析です。多くの研究者が関与し、リチウムイオン電池を代表とする次世代電池に関連する多くの研究が発表されています。本アプリケーションノートでは、電池材料におけるラマンのIn situ分析の応用について述べます。ID
ラマン 電池 insitu測定
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近赤外ATR法によるガラス上のシランカップリング剤の反応解析
要約:全反射法(ATR法)は表面分析の手法として幅広く利用されている。この手法の特長は、エバネッセント波というごくわずかな赤外光が試料に浸み込む現象を利用しているため、クリスタル(IRE)に密着している試料表面のわずかな厚みのみの分析が可能であることである。また、浸み込む深さが波長に依存することから、近赤外光方が中赤外光より、より表面に近い情報が得られるのではないかと考えた。
特にガラス表面の反応を追跡する場合、従来は表面側からしか分析手法が無かったが、表面層とガラスの界面を知るために、ガラス内部からのATR測定という手法を思い付き、シランカップリング剤の脱水縮合反応過程、およびガラス表面への反応を調べたので報告する。ID
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顕微赤外イメージングによる微小異物の高速スクリーニング
要約:顕微赤外システムにおけるイメージング検出器の進歩により、高速で広範囲のサンプル情報を得ることが出来るようになってきた。従来の顕微赤外システムではマスキングアパーチャーを用いて測定エリアを制限し、ピンポイントで測定を行う。そのために広い領域を多点で測定する場合、XY電動ステージを連続的に移動させる手法(マッピング法)で長時間の測定を行ってきた。これに対し、多数の検光素子を持つアレイ検出器と高速移動の試料ステージを搭載したイメージングシステムでは、広い範囲をはるかに高速で測定することができる。この特徴を生かした測定例として、異物同定の迅速・効率化を目的としたスクリーニング測定を試みた。
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FTIR イメージング 異物
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偏光変調高感度反射法(PM-IRRAS)によるナノオーダーの有機薄膜の解析
要約:ナノテクノロジー分野では、製品化を実現させるための大量生産という課題を乗り越える技術として、非平衡系で秩序化がすすむ自己組織化材料や、結晶成長に代表される自己集合系材料、分子レベルで単層膜を作成するLB膜などが注目されている。これらの材料の微細構造を研究する上で、分子レベルでの構造解析は必要不可欠なテーマとなる。
ナノオーダーの有機薄膜の分子結合状態、官能基、配向状態などを解析する手法の一つとして、赤外分光法(IR)が利用される。特に金属基板上の薄膜の解析手法として、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)におる高感度反射法(IR-RAS)などが利用されている。サーモフィッシャーでは、赤外偏光を高速変調しながら試料面に入射する偏光変調高感度反射法(PM-IRRAS)を応用したPEMモジュールを製品化した。これによりリファレンス基板が不要で、バックグラウンドノイズの影響のない有機薄膜の分子振動スペクトルが測定可能である。ID
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FT-IRによるフタル酸エステル類の検出
要約:プラスチック中に可塑剤として添加されるフタル酸エステルは、内分泌攪乱物質として海外、国内でも法規制の対象となっています。2017年現在、REACH規制(欧州連合:EU)、日本の厚生労働省、米国消費者製造安全委員会(CPSIA)などが、フタル酸エステル類を許容濃度0.1wt%で規制対象としています。現状、既にGC-MS法によってppmオーダーの定性定量分析が可能ですが、試料の前処理や準備・メンテナンスなどにコストと時間を要し、効率化を図りたいのが実情です。そこでGC-MSの前段のスクリーニングへの適用が期待されているのがFT-IRですが、検出感度のハードルがあります。検出感度を向上させ、PVC以外の樹脂に対応するためには可塑剤と樹脂の赤外スペクトルが重畳市内必要があります。
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FTIR フタル酸エステル 濃縮
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共焦点ラマン顕微鏡の横方向空間分解能を利用したポリマーラミネート中のミクロン・サブミクロンの層の解析
要約:ポリマーラミネートは、食品から医薬品に至るまで広範囲な業界で使用されています。化学的、物理的特性や厚さの異なる複数の高分子層を接着すると、さまざまな包装用途に適した理想の化学的、機械的なバリア特性が得られます。技術の進歩と製造の高度化により、より複雑でより薄いラミネート構造が製造されるにつれて、製品の品質管理や不具合の分析、リバースエンジニアリングに向けたラミネート分析のニーズがますます増加し
ています。ラミネート分析のツールには、光学顕微鏡、示差走査熱量測定(DSC)、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)、ラマン顕微鏡法などがあります。中でも、共焦点ラマン顕微鏡には多くの利点があります。ラマン分光法は化学的特性と物理的特性のどちらの情報も得ることができます。独自の選択性によって、物質の同定に最適な分子の指紋情報が得られます。共焦点ラマン顕微鏡は、多くの場合サンプル励起に短波長可視およびNIR(400~785 nm)レーザーを使用します。ラマンのシグナル強度はレーザー波長の四乗に反比例するため、これによって感度が増大します。さらに、空間分解能もレーザーの波長に反比例します。波長が短くなるにつれ、分解能が高くなります。
このアプリケーションノートでは、Thermo Scientifi c DXR2ラマン顕微鏡を用いて行った2種類のポリマーラミネート分析に言及します。レーザーの波長、対物レンズの倍率、ピンホールサイズ、XY方向空間分解能を含め、機器の構成を詳細に説明します。ID
ラマン ポリマー ラミネート