2026.07.05

粒子計測基礎と分散に関するブログ(分散・凝集の基礎から粒子測定まで)その①

 

分散・凝集の基礎から粒子測定
私たちの身の回りには、目に見えないほど小さな粒子がたくさん使われています。たとえば塗料、インク、化粧品、食品、電池材料、医薬品などです。こうした製品では、粒子が液体の中でうまく散らばっているか、それとも集まってしまっているかが、性能や品質を大きく左右します。

そこで重要になるのが、「粒子がどのくらいの大きさで、どのような状態で液体中に存在しているかを正しく知ること」です。ところが実際には、粒子の大きさは単純にひとつの数字で表せるものではありません。測り方が違えば、同じ試料でも違う値になることがあります。

この記事では、まず粒子分散と凝集の基礎をやさしく整理し、そのあと代表的な粒子測定法を比較します。さらに後半では、従来法とは少し異なる発想で粒子をとらえるBrave Analyticsの新技術についても紹介します。

粒子の「分散」と「凝集」はどう違う?
まず基本から確認しましょう。

分散とは、粒子が液体の中でばらばらに広がっている状態です。
一方で凝集とは、粒子どうしが引き寄せられて、ゆるく集まりはじめた状態を指します。さらに強く結びついて元に戻りにくくなった状態は、文脈によっては凝結や強固な凝集として扱われます。

ここで大切なのは、粒子は細かくすればするほど便利になることが多い反面、細かいほど不安定になりやすいという点です。粒子が小さくなると表面積が増え、表面の影響が強くなります。その結果、粒子どうしが再び集まって、全体としてより安定な状態に戻ろうとしやすくなります。

つまり、粒子を細かくしただけでは十分ではありません。実際の材料開発や製造では、「細かくすること」と「集まりにくくすること」を両立させる工夫が必要になります。

「粒子径」はひとつではない
粒子を扱うとき、多くの人がまず知りたくなるのは「粒子の大きさ」です。ところが、ここにはひとつ注意点があります。粒子径は、いつも同じ意味の数字ではありません。

たとえば電子顕微鏡で見たときの直径は、見た目の大きさに近い値です。ところが、液体の中で粒子を測る方法では、粒子のまわりにある水和層や表面の高分子層の影響まで含めた、いわば液中での“見かけの大きさ”を見ている場合があります。

そのため、同じ試料でも、ある方法では20 nm、別の方法では35 nm、さらに別の方法では50 nmという結果が出ることがあります。これは測定ミスとは限りません。見ている物理量が違うからです。

粒子測定の結果を比べるときは、単に数値だけを見るのではなく、「どの方法で」「どんな液体中で」「何を大きさとして定義しているのか」をそろえて考える必要があります。

小さい粒子と大きい粒子では、動き方も違う
粒子の大きさが変わると、液体中での振る舞いも変わります。

小さな粒子は、液体分子から絶えずぶつかられることで、不規則にゆらゆら動きます。これがブラウン運動です。ナノサイズに近い粒子ではこの動きがとても目立つため、粒子は長く漂いやすくなります。

一方で、粒子が大きくなると重力の影響が無視しにくくなり、だんだん沈みやすくなります。高校化学の感覚でいえば、ナノ粒子は漂いやすく、マイクロ粒子は時間がたつと沈みやすいと考えるとイメージしやすいでしょう。

この違いは、測定にも大きく影響します。粒子の測り方によっては、少数の大きな凝集体があるだけで結果全体が大きく変わってしまうこともあります。粒子径測定は、ただの“微小な定規”ではなく、粒子の動きや存在状態を反映する観測でもあるのです。

pH、塩、界面活性剤はなぜ効くのか
分散安定性に大きく関わるのが、粒子表面の電気的な状態です。粒子表面には電荷が現れることがあり、そのまわりには反対符号のイオンが集まります。このような表面近くの電気的な層構造が、粒子どうしの反発に関係します。

ここで重要なのがpHです。液体が酸性寄りかアルカリ性寄りかによって、粒子表面の電荷の状態が変わり、粒子どうしの反発しやすさも変化します。反発が弱い条件では、粒子は集まりやすくなります。

さらに塩を加えると、電気的な反発が届く距離が短くなり、粒子同士が近づきやすくなります。その結果、凝集が起こりやすくなります。

また、界面活性剤や高分子分散剤も重要です。これらは粒子表面に吸着して、粒子どうしが近づきにくいように働きます。特に高分子は表面にふんわりした層をつくり、物理的な“クッション”のように粒子同士の接近を防ぎます。これを立体安定化といいます。

ただし、分散剤は入れれば必ず良いわけではありません。量や種類が合わないと、逆に粒子同士をつないでしまい、凝集を進める場合もあります。分散は、単なる添加ではなく、条件設計そのものなのです。

粒子の形や重さも無視できない
粒子の安定性は、表面電荷だけで決まりません。粒子の密度、形、表面のつくりも影響します。

たとえば、同じ材質でも粒子が大きく重ければ沈みやすくなります。また、粒子が球形ではなく針状や板状だと、液体中での向きやぶつかり方が変わり、凝集のしやすさや流れ方も変化します。

さらに、同じ物質でも表面に出ている結晶面が違えば、分散剤の吸着しやすさが変わることがあります。つまり実際の分散では、「何の材料か」だけでなく、「どんな形で、どんな表面を持っているか」まで見ないと判断しにくいのです。

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